湿式分散・粉砕機であるビーズミルの運転条件と分散結果の関係について、ディスク型の横型ビーズミルであるダイノーミルKD型を中心に説明していくことにする。
使用するビーズ径が半分になると、個々のビーズ質量は1/8になるが、個数は8倍になる。処理物の一次粒子が小さく、凝集をほぐす分散の場合には、ビーズの質量よりも個数が多いこと、つまりビーズ同士の接触点が多いことが分散にとって重要になる。特に要求される粒子径が小さければ小さいほど、この傾向は顕著になる。
そのほか、ビーズの選択で重要な要素は、密度、耐摩耗性、価格、安定供給等が挙げられる。密度が分散性に影響があるかどうかは、処理物の粘度、粒子径、分散か粉砕かなどによって大きく変化してくる。一般的に粘度が高い場合や粒子径が大きい場合、一次粒子の粉砕の場合は密度が大きい方が適している。
近年では、ガラスビーズに比べて密度が大きく、耐摩耗性の高いジルコニアビーズを使用するケースが増えている。ジルコニアビーズは、耐摩耗性、密度、破壊強度、粒径の均一性など、どれをとっても現状で最も優れたビーズである。もともとコンタミネーションを嫌う用途でしか使用されていなかったが、価格も下がり小径ビーズも安定して供給されるようになり、様々な業界で使用されるようになってきている。
シリンダーやディスクなどの接液部材質は、特殊焼入鋼、ステンレス鋼、ポリウレタンゴム、セラミック等がある。これら接液部材質は、処理物によって選択される。
近年は、金属コンタミネーションの問題の解決のためセラミック仕様を選択することが多くなってきており、現状の機械(焼入鋼やステンレス鋼などの金属仕様)のディスクやシリンダー等をセラミック仕様に変更する場合もある。