近年の分散要求は、微粒化とともに粒度分布をシャープにすることが求められており、パス回数を多くするケースが増えてきている。パス方式では、供給タンクからビーズミルを通過した処理物をパス毎に別のタンクに受ける必要があるため、パス回数が増えると作業性が悪くなる。一方、循環方式とは、供給タンクとビーズミルの間を何回も循環させて分散するシンプルな方式で、循環回数が少ないうちは、供給タンクで未処理の粒子とビーズミルから出てきた粒子が混ざってしまい、粒度分布がブロードになるが、循環回数を多くすることによって、パス方式と同等の分散結果を得ることができる。
これを統計学で計算すると、4.6回循環される時間運転した場合99%の粒子が、9.2回循環される時間運転した場合99.99%の粒子が少なくとも1回はミルを通過したことになり、筆者の経験とも一致する。
ここであるモデルを想定し、循環運転する場合に求められる分散機の吐出量について考える。
分散機 A | 分散機 B | |
バッチ量 | 1000kg | 1000kg |
処理能力 | 50kg/h | 50kg/h |
最大吐出能力 | 200kg/h | 1000kg/h |
どちらのケースでも分散機の処理能力は50kg/hのため、計算上は20時間で処理が可能である。 しかし分散機Aは、1パスするのに5時間かかり、処理能力から計算される20時間で処理を打ち切ると、循環回数は4パスのため、仕込みタンク内の粒子はかなり不均一で、要求される粒度分布に達しない。一方、分散機Bは1パスするのに1時間しかかからないため、20時間で20パスされることになり、十分に均一な粒子が得られると予想される。