WAB社が2006年に開発した、φ0.1mm以下の微小ビーズ対応機であるダイノーミルNPM-PILOT型(容量2L)について説明する。NPM-PILOT型は、アクセレレーターを採用するなどの基本的な構造はECM型と同じだが、ビーズと処理物の分離に主軸とは別駆動の遠心分離セパレーターを採用しているのが大きな特徴である。
一時期、微粒化するためには、エネルギー投入量を大きくすることが必要であると言われた。前項で紹介したアニュラータイプのミルやECM型がそれに該当し、アクセレレーターを高周速で運転することで多くの良い結果を得ることが出来た。
その後も原料の微粒化が進みナノ領域の分散になると、一次粒子の破壊により表面活性が増え、再凝集が発生するなどの問題がでてきた。そのため従来よりも小さい微小ビーズで分散をおこなうこと、つまり処理物に与えるエネルギーを抑えることが有効であることがわかった。ただし従来のアジテーターでは、高周速で運転しないと微小ビーズが運動しないため、再凝集を抑えて安定した分散をするには、低周速で運動させることができるアジテーターが必要である。
ECM型で採用されたアクセレレーターは、周速3m/sという超低周速や、φ0.1mm以下のビーズでもシリンダー内でビーズが均一に運動しており、アクセレレーターが微小ビーズ対応のNPM-PILOT型に最適なアジテーターといえる。
微小ビーズの分離には、ギャップセパレーターではギャップ精度、スクリーンセパレーターでは目詰まりなどの問題があり、使用するのは現実的ではない。現在のところ、そのようなビーズには、遠心力によってビーズを分離する遠心分離セパレ-ターが適している。しかし遠心分離セパレーターが、アジテーターと同じ軸上にあるビーズミルの場合、低周速で運転すると遠心力が落ちてしまい、ビーズを分離できずに漏れてしまう場合がある。
NPM-PILOT型は、アクセレレーターとセパレーターをそれぞれ独立したモーターで運転する方法を採用している。これにより、アクセレレーターは分散に最適な周速で運転し、セパレーターは処理物とビーズを効率よく分離できる周速で運転することができる。