ビーズミルにおいて理想的な条件とは、処理物がビーズによる機械的負荷を、均等な頻度と強さで受けることである。次に理想的な運転方法とは、目的の粒径になるよう滞留時間を調整し、1パスで均一な粒径と分散程度に到達することである。
ただし、このような理想的なことはビーズミルでは起こりえない。図に示すように、ディスクがビーズに与える運動エネルギーは均等ではなく、またシリンダー内の処理物は、逆戻り現象とショートパスを常に起こしている。その結果、処理物の滞留時間は一定ではなく、粒度分布はブロードになる。この粒度分布をシャープにするには、シリンダーを長くするか、処理物の流量を増やしてパス回数を増やすことが有効である。
前述のように、ダイノーミルではL/Dを約2.3から約3.2まで大きくした機種があり、ショートパスの発生を抑えることができるが、L/Dをさらに大きくするのは機械的制約がある。
例えば100kg/hで1パス処理するよりも、300kg/hで3パス処理した方が、よりシャープな粒度分布が得られることは、よく知られている。つまり総滞留時間が同じでも、パス回数が多いほどショートパスの影響が抑えられ、粒度分布がシャープになるが、処理物の流量を増やすと、前述のビーズパッキングが発生するという問題が生じる。