ビーズミルの最適運転条件③

湿式分散・粉砕機であるビーズミルの運転条件と分散結果の関係について、ディスク型の横型ビーズミルであるダイノーミルKD型を中心に説明していくことにする。

L/D(シリンダー長さ / シリンダー直径)

 ダイノーミルでは、L/Dが約2.3の機種と約3.2まで大きくした機種がある。たとえば、KD-20B型のシリンダーを長くしたKD-25型がある。

 L/Dを大きくすると、1パスあたりの滞留時間が長くなり、処理物のショートパスが抑えられ、粒度分布がシャープになる。ただし、L/Dが大きい機種で流量を増やすと、ビーズが出口付近に集中(ビーズパッキング 後述)しやすくなる欠点がある。したがってL/Dの大きな機種で処理能力が向上する理由は、流量を増やせるためではなく、例えば従来3~4パス必要だった処理物が2~3パスで同等の結果が得られるとか、おなじ3~4パスでも、より微細化されて粒度分布がシャープになるからである。

ビーズパッキング

ビーズパッキング

 ビーズパッキングとは、高粘度液の処理や処理物の流量が多い場合に、シリンダーの出口付近にビーズが集中して、ビーズの分布に偏りが生じる現象である。このビーズの偏りが発生すると分散効率は低下し、分散に寄与しない動力の消費が増え、処理圧力や処理温度が上昇する。

 ダイノーミルは、このビーズパッキングを防ぐために、SSP型と呼ばれるディスクを使用することがある。SSP型ディスクとは、ビーズを処理液入口へ押し戻すための傾斜のついた穴が開けられているディスクである。SSP型ディスクを使用することにより、処理圧力を下げるとともに、ビーズパッキングにより発生する不要な発熱をおさえることができる。言い換えれば、処理温度を低くできるだけでなく、処理温度の制限がある処理物の場合には、流量を上げられることにつながる。