湿式分散機(媒体型ミル)の変遷

 1870年頃  ボールミル  ドイツ
 1920年頃  アトライター  アメリカ
 1952  サンドグラインダー  アメリカ、デュポン社
 1960年代  サンドグラインダー(たて型)の普及  
 1966

 世界初の横型ビーズミル  ダイノーミルの開発

 スイス、WAB
 1970年代  横型ビーズミルの普及  
 1980年代  アニュラータイプの開発  
 1990年代  大流量循環型ミルの開発  
 1994  ECM型の開発  スイス、WAB
 2006

 微小ビーズ対応ビーズミルの開発  NPM型の開発

 スイス、WAB
 2011  ECM-AP型の開発  スイス、WAB

 上記の年表と各機械の構造をまとめると、表1になる。

 生産現場で使用されている湿式分散機の現状は、ボールミル、アトライターなどのバッチ方式から生産性の高い連続方式のビーズミ ルへ、一部の処理物を除いて移行してきている。また、初期の開放型はほとんど姿を消して密閉型に置き換わり、横型ビーズミルの比率が高くなっている。

1980年代に、エネルギー投入量が大きく、生産効率が非常に高いアニュラータイプが開発 されたが、一般的に高価であり、また機械とビーズの摩耗が激しいため、コンタミネーションが無視できない。研磨性が低く、高付加価値品の難分散の処理物に 限った使われ方がほとんどのようである。

1990年代に入り、分散要求の高度化が進み、ビーズミルのパス回数が増加する傾向が顕著になった。その結果、大流量循環運転に対応したビーズミルが開発され、1994年にECM型、さらに2011年にセパレーター部を改良したECM-AP型が開発された。

近年、微小ビーズ(φ0.1mm以下)に対応した機械が求められるようになり、2006年に新たな分離機構である遠心分離セパレーターを採用したNPM型が開発された。

表1 湿式分散機の開発時期と構造の変化

開発時期

生産方式

バッチ

連続

循環

基本構造

開 放

たて型

密 閉

横 型

アジテーター構造

なし・バー

朝顔型

ディスク

ローター

立体構造型

アジテーター周速

ビーズ径

微小

ビーズ充填率

ビーズ分離機構

なし

スクリーン

ギャップ/新スクリーン

遠心分離

分散性能

超高

該当機械

ボールミル

 

 

 

 

アトライター

 

 

 

 

 

サンドグラインダー

 

 

 

 

 

 密閉型サンドミル

 

 

 

 

 

 

ダイノーミル

 

 

 

 

 

 

アニュラータイプ

 

 

 

 

 

 

 

ダイノーミルECM

 

 

 

 

 

ダイノーミルNPM